文化財の防災・防犯

有形文化財:建造物・美術工芸の防災・防犯

建造物

【防災対策】

▶火災、台風、地震などの自然災害等の発生を想定して、必要な対策に取り組んで下さい!
  • 日頃から適切な日常管理と修理を行い、建物等が持つ本来の強さを維持してください。
  • 簡易な耐震診断を通して、所有または管理する建物の地震に対する強さを把握してください。建物が地震や台風などの災害に対して明らかに脆弱な場合は、一時的に使用を限定するか、耐震補強を実施するなど安全性の確保に努めてください。
  • 落雷が発生し易い地域にある建物の避雷対策については、立地により整備手法が異なるため、あらかじめご相談ください。
  • 国指定、地方指定(県または市町村)の建物は法律で自動火災報知設備の設置が義務付けられています。また、火災の発生に際して文化財を守るため初期消火や延焼防止に必要な消火設備を整備してください。
  • 燃えやすいものを文化財の周りに置かないようにしてください。また、建物近くに草むらや雑木林がある場合は日頃から適切な管理に努めてください。
  • 文化財周辺でのたき火や花火は禁止してください。桧皮葺や茅葺など植物性屋根の建物に飛び火すると、瞬<間に建物に燃え移ります。
  • もし火災が発生した場合は、まず消防署(119)に通報した後、消火活動を行ってください。
  • もしもの時に備え、連絡先や消火活動等をまとめたマニュアルを作成して、定期的に防災訓練を行ってください。
【防犯設備】
▶定期的な見回りと監視の強化によって、文化財を不法行為から守りましょう!
  • 神社や寺院など広い敷地に文化財建造物が分散して立地するところでは、定期的に巡回を行い、監視の目を光らせてください。また、放火等の不法行為が確認された場合や、より厳重な警戒体制をお望みの方は防犯カメラやセンサーなどの設置をご検討ください。

美術工芸品

【防災対策】
▶災害に対して安全・安心な場所に保管してください!
  • みなさんがお持ちの文化財は、直射日光から遠ざけ湿気の少ない良好な環境を前提に、盗まれないような安全な場所と安定した場所を選び保管してください。展示する際は転倒防止の措置を講じてください。
  • 文化財の保管場所を市町村のハザードマップで確認し、水没・水損の恐れが想定される場合はあらかじめ建物の2階に移動させるか、その他安全な場所を選び保管を検討してください。
  • 文化財を保管・展示する施設については、必要に応じ火災を感知する自動火災報知設備を設置するだけでなく、初期消火に使用する消火器等を準備して、誰もが使えるよう分かりやすい場所に設置してください。
  • もし火災が発生した場合は、まず消防署(119)に通報した後、消火活動を行ってください。
  • 文化財の収蔵・展示施設については、できる限り耐震性能の高い建物を選び保管するよう努めてください。
  • もしもの時に備え、連絡先や消火活動等をまとめたマニュアルを作成して、定期的に防災訓練を行ってください。
【防犯対策】
▶定期的な見回りと監視の強化によって、文化財を不法行為から守りましょう!
  • 離れた場所に保管されている仏像等をお持ちの場合は、定期的に巡回を行い、監視の目を光らせてください。また、いたずら等の不法行為が確認された場合やより厳重な警戒体制をお望みの方は防犯カメラやセンサーなどの設置をご検討ください。
  • もしもの時に備え、保管状況を写真に撮り、仏像等の特徴や大きさを記録に残してください。

有形民俗文化財

  • 家や石造物などの有形民俗文化財は上記有形文化財(建造物)をご参照ください。
  • 道具や史料などの有形民俗文化財は上記有形文化財(美術工芸品)をご参照ください。

無形民俗文化財

▶祭り行事のすべてを記録に残しておきましょう!
  • 先の東日本大震災の津波では集落がまるごとなくなる被災を目の当たりにしました。これからも大きな自然災害の発生により祭りなどの担い手が被災したり、道具や活動の場自体が失われることが少なからず想定されます。
  • もしもの時に備え、祭り行事の演目ごとの所作や衣装、道具や舞台などをあらかじめ映像記録(写真・ビデオ)に残しておくことで、みなさんが再会できた時、もう一度、祭りを始める際の重要な情報源となり得ます。記録の際は、祭りの演目そのものだけでなく準備の状況なども含めて一部始終を記録に撮ることで、行事全体への理解と忠実な復興に繋げることができます。
  • 記録の保管は、成果品のコピーを複数作成して関係者に配布し、地元市町村にも一部保管してもらいましょう。

史跡・名勝・天然記念物の防災・防犯

【防災対策】
▶文化財の立地を把握して、発生する災害をあらかじめ想定して防災対策に努めましょう!
  • 史跡地内にお住まいの方や個人法人で庭園や樹木等をお持ちの方は、市町村ごとのハザードマップで水害等による被災の可能性について、十分な把握に努めてください。
  • 平地、丘陵部、山麓、山林、河川沿など文化財の立地によって発生する自然災害の種類が異なりなります。立地を勘案し、水没や裏山の斜面崩壊など想定される災害への防災対策が必要です。
  • 古墳や庭園、樹木などの文化財の姿を普段から写真に収めることで、災害復旧時の貴重な資料として役立てることができます。
  • 枝ぶりの良い大木は、外観が健全に見えても幹の内部が空洞化したり腐朽している場合があるため、強風で折損して隣接する建物や通行人に危害を及ぼすことがあります。日頃から枝葉の生育状況や幹の状態を確認していただき、不慮の事故の発生防止に努めてください。
【防犯対策】
▶落書き、盗掘などを防止するため、注意喚起と巡回の強化、強固な対策をとりましょう!
  • 建物や石造物を伴う史跡・名勝(庭園)については、落書きや破壊、放火などの不法行為が想定されます。これらは上記有形文化財(建造物)の防犯対策を参考としてください。
  • 石垣や露頭した自然石を伴う史跡、崖・地層などの天然記念物については、落書き等のいたずらが想定されます。日頃から監視を強化するとともに看板などによって注意喚起を促してください。
  • 窯跡では陶片の収集を目的とした盗掘が発生します。史跡地に柵を設けたり、窯にネットを張ることで、犯罪行為を防止しましょう。

文化財の防災・防犯に関する通知