旧福岡県公会堂貴賓館は、那珂川と薬院新川が合流する三角州の先端、西中洲の一角に位置し、第13回九州沖縄八県連合共進会の来賓接待所を兼ねて明治43年(1910)に竣工した。設計者は福岡県県土木部技師の三條栄三郎である。貴賓館は、木造2階建のフレンチ・ルネッサンスを基調とした洋風建築である。屋根は寄棟造、天然スレート葺で正面中央に玄関ポーチを突出させ、北東隅に八角塔を張り出す。外壁は石造に模してモルタル壁として腰壁には白い化粧タイルを貼る。内部は正面、玄関奥に階段室、その左右に食堂、応接室等を、2階は北東隅に貴賓室を設けるほか、寝室等を配す。内部は、天井木製格縁や漆喰塗格縁で幾何学模様をつくり、各室に大理石製の暖炉やレリーフが施されるなど貴賓館にふさわしい内装を備える。明治時代の数少ない木造公共建築として貴重である。