寺の開山と伝える慈覚大師円仁の坐像。像高52cm、桧材の寄木造で頭体部とも前・中・後の三材矧を基本形にしている。やや大きめの頭部は、円頂で玉眼を入れ、豊頬で、大きく張る鼻・唇等、強い意志力を示している。胴部は幅広く、僧衣の衣文の彫りが深く、肖像彫刻の伝統を良くふまえて、生き生きとした像となっている。膝前で定印を結び、どっしりとした安定感がある。胎内に墨書銘があり、正長2年(1429)に京五条仏師が造り、元亀2年(1571)に修理されたことがわかる。