棰先瓦は棰の先端面に打ちつけられる装飾用の瓦製品で、九州での出土はめずらしい。円形と方形の2種類があり、いずれも瓦当文様は畿内の山田寺系統の重弁蓮華文で各弁とも中央に鎬を通し彫りも深く逸品である。円形のものは重弁八弁で中房は中心に釘穴を穿ち、その周囲に蓮子を配する。方形のものは対角線上に重弁蓮華文四弁を配する。弁間は揆形の弁を配して空間を埋める。中房はやや縦長の方形で中央の釘穴を中心に8個の蓮子をめぐらせている。7世紀後半代のものである。