原井三ツ江遺跡は、周防灘沿岸部に位置する縄文時代後期の集落跡である。竪穴住居跡からは多数の土器や石器と共に、土偶が3点も出土しており、複数の土偶が出土する事例は福岡県では極めて稀である。土偶は妊婦を表現したものと考えられ、出産や動植物の多産などを祈願した祭祀具であった可能性が高い。土偶は東日本の縄文時代の遺跡で多く見られ、九州地方では縄文時代後期に東日本からの影響を受けて出現した。原井三ツ江遺跡の土偶は、九州地方で土偶が盛行する直前のものであり、ここ周防灘沿岸部を窓口として東日本からの影響が及んだことを示す点で非常に重要である。