現在は「挾間の観音」として収蔵庫に安置されているが、かつては岩屋山泉水寺の本尊として祀られていたという。像高211cmを測る一木造の像で、全体的に丸みを帯びるつくりや、浅く刻まれた衣文から、どっしりとした重量感の中に穏やかな印象を漂わせる。千手観音の特徴を示す脇手は、扇状の板に半肉彫で刻まれる。平安時代後期の豊前地域の典型例といえる像である。背後の堂には同時期と考えられる木造不動明王坐像(市指定)が祀られており、神秘的な岩窟や母乳が良くでるようになる説話のある湧水、数々の石塔と併せ、かつての繁栄ぶりを偲ばせる。