有馬家霊屋は、久留米藩主有馬家の菩提寺、梅林寺の境内に所在する。有馬家の歴代藩主の墓や位牌を納めた霊屋で寛永7年(1630)から承応4年(1655)にかけて順次建てられた。上下2段に敷地が造成されており、17世紀中期に建てられた5棟の建築が並立する。上下2段に霊屋と位牌廟を分かれて配置する。下段には藩祖則賴や妻、娘の墓が納められた「梅林院霊屋」と初代豊氏や二代忠賴などの墓が納められた「春林院霊屋」の2棟の霊屋が並び、五輪塔を納められる。上段には、初代豊氏などの位牌が納められた3棟の位牌廟が並び、金箔で飾られた宮殿が安置される。有馬家霊屋は、五輪塔を納める下段の霊屋と、壮麗な宮殿を安置する上段の位牌廟を一対として藩主らを祀るという独自の配置関係を持つ。九州地方で希少な大名家の霊廟建築であり、霊廟建築の地方的展開を理解する上で貴重である。