大黒天は近世以降の俵に乗って大きな袋をさげたいわゆる「大黒様」が有名であるが、そもそもは戦闘の神であった。この大黒天像は眉をしかめ忿怒形に近い顔をしているが、穏やかで軽やかな印象は、古い大黒天が、豊穣の神である大黒様に移りかわる過渡期のものといえる。像高172cm、樟の一木造で、内刳のない丸彫りのまま足まで造る。平安時代後期の作品と考えられ、日本最古かつ最大の大黒天像として貴重である。