持統天皇が天智天皇の菩提を弔うために建立した寺院である。北に講堂、東に塔、西に東向きの金堂が並ぶ建物配置は、観世音寺式伽藍配置と呼ばれる。建物には主に老司式軒瓦が葺かれるが、これは観世音寺創建のために製作された軒瓦で、とくに軒平瓦は当時日本の中心であった藤原宮の偏向唐草文軒平瓦に系譜を辿ることができ、福岡市南区老司にその窯跡が見つかっている。観世音寺の周囲には49の子院が存在したと伝えられている。