旧志免鉱業所竪坑櫓は、福岡市東側に広がる糟屋炭田のほぼ中央に位置する。艦船用石炭及び海軍工廠等で使用する工場用石炭の採掘施設として、第四海軍燃料廠採鉱課の計画及び設計に基づき、昭和16年(1941)から18年(1943)にかけて建設された。第二次大戦後は、運輸省、日本国有鉄道の施設として使用されるが、昭和39年(1964)に廃止された。旧志免鉱業所竪坑櫓は、長軸15.3m、短軸12.3mm、高さ47.6mの鉄筋コンクリート造8階建の構造物である。石炭等運搬用のケージを昇降させる巻揚機を櫓上部に設置する「塔櫓捲型」という竪坑櫓の中で最も発達した形式である。この形式の竪坑櫓では日本で唯一現存するものであり、近代の鉄筋コンクリート造構造物の中で、国内有数の高さを誇る高層構造物として近代建設技術史上、価値が高い。