今村天主堂は、筑後川中流域の田園地帯、三井郡大刀洗町今区に所在する。この地はかつて、隠れてキリスト教を信仰し続けていた集落である。現教会堂の外観はロマネスク風様式の煉瓦造で、正面に八角形の双塔を聳えさせ、屋根は重層構造である。内部は本格的な三層構成で、高いリヴヴォールト天井とステンドグラスにより壮麗な内部空間を演出し、柱や聖体拝領台、壁面などには精緻な装飾が施され優れた意匠である。設計施工は当時長崎を中心に多くの教会堂建設を手掛けた鉄川與助で、その中の煉瓦造教会としては平面・高さなど規模が最も大きく充実し、高い価値がある。