善導寺は承元2年(1208)、聖光上人が開創したと伝えられる浄土宗の寺院で、江戸時代を通して九州における浄土宗の本山として繁栄した。経蔵は本堂に向かう参道沿いに位置する。建物の規模は正面三間、側面三間、屋根は方形造、桟瓦葺である。正面中央に諸折桟唐戸を入れ、両脇に連子窓を入れる。内部は切石敷の床で八角形の回転式輪蔵を据え、その中に経典が納められる。経蔵の建築年代について、史料等の調査の結果、17世紀中頃に建築された他の寺院建築の部材を転用し、18世紀中頃に輪蔵とともに整備され、明治初期に現在の場所に移築されたものと考えられる。江戸中期に行われた一連の再建によって伽藍を整えた建築群と同時代に存在しており、これら重要文化財に指定された建築群と一体的評価がなされる寺院建築として貴重である。