長さ66.4cm、無銘。毛抜形太刀の始源は平安初期の末葉とされているが、菅公の御佩刀と伝えられるこの太刀は、平安中期頃の作品と考えられる。柄には毛抜形の透かしがあるのでその名があり、武具として供しうるが、儀仗用太刀としての性格を強めている。刀身と柄は共に強度の反りを持っており、棟は丸く、鋒はかます形に小鋒で、中央よりに鎬状に高くなって、平造りから鎬造りに移行する過渡的な容姿を示す。柄の中央に毛抜形を透彫りし、柄先の窓透しも軍扇形に巧みに打抜かれる。 この種の太刀は、平安時代から鎌倉初期にかけて一時流行しその豪華さから神仏への奉納や贈答に用いられた。現存するものは極めて少ない毛抜形の太刀の一遺品として貴重なものである。