旧石井家住宅は、朝倉市南部の平野部の農村に位置する。本住宅は三つの屋根が「コ」字形に組み合った「くど造」の民家である。隣家より寛政12年(1800)の墨書が発見されたことから、それ以前の建築と推測される。屋根は麦藁で葺かれていたが、現在はトタンで被覆されている。間取りは、南側半分を土間とし、北側半分の前面に12畳の部屋があり、その背後に台所が配置される。土間には竈門が設けられ、入り口隅に馬屋がある。本住宅は、筑後川流域に広く分布していた「くど造」の農家建築の典型例として貴重である。