観世音寺の巨像群の中でも最大のもので、像高517cm、前に立つと頭上にのしかかるかと思う程大きい。樟材の寄木造で、幹部は前面一材、背面一材からなる。観世音寺講堂の主尊は不空羂索観音であったが、創建時のものは塑像であった。これが承久3年(1221)7月の夜、突然に倒れ、壊れたため、翌年に木彫で再興したものが本像である。胎内には塑像の心木と塑像頭部の一部、及び関係経典がおさめられていた。奈良時代の塑像片は観世音寺の往時を語る貴重なものである。