檜材の寄木造漆箔像。像高108cmの等身大の坐像。頭部は体に比してやや小さく、目鼻立ち造作がくっきりと、張りのあるやや面長な感じに整えられる。衣は偏袒右肩に着し、強い線を浮き立たせる。両手は上品下生の来迎印に結ぶ。多めに刻まれた衣文など、平安時代後期の典型的な特徴があらわれており、当時流行した定朝様にならった本格的な作風といえる。本像のある御床地区は、太宰府観世音寺の重要な寺領であったが、本格的な作風の像が伝来した背景にはそうした社会背景がうかがわれる。