「遠の朝廷」とも称された古代の大宰府では50年以上もの調査により数多くの資料が蓄積されてきたが、なかでも木簡は地方出土のものとしては最大級の規模と質を誇っている。管内諸国の調庸物は基本的に大宰府へ納められていたため、大宰府跡からは多くの荷札木簡がみつかっている。また、情報伝達や帳簿的な機能をもつ文書木簡もあり、珍しいものとして文書を挟んで封筒として用いられた封緘木簡もある。本木簡群は大宰府の日常の政務の実態を解明する上で極めて有用であり、我が国の古代史研究全般においても貴重な史料である。