大宰府政庁跡北方の畠から発見された鬼瓦。右下端部約3分の1が欠損している。鬼面は肉盛りが厚く、逆立つ怒髪、つり上がった眉、四天王のような鋭い目、深い眉間の皺、厚く盛上がった頬、口を大きく開いた憤怒相は、他の地方に見ることのできない大宰府独自の彫刻作品である。口は上顎に6本(現存2本)の歯と2本の牙をむき出し、下顎には小さな牙が上向きに配されている。周縁は大粒の珠文40個(33個現存)がめぐる形に復原される。本例と同系統の鬼瓦が、筑前、肥前、肥後、豊前の各地の寺院跡等で発見されており大宰府文化の一面をこの鬼瓦に見ることができる。