鎌倉時代、豊前・豊後・筑後国の守護であった大友能直が彦山下宮御正体として奉納したもの。径42cm余りの円鏡に錫箔、像の随所に金箔が残ることから、奉納当初は金銀に輝く、非常に荘厳なものであった。また、彦山(近世以降は英彦山)は、北岳、中岳、南岳の三峰から成り、その祭神は、北岳(法躰岳/天忍穂耳命)、中岳(女体岳/伊邪那美命)、南岳(俗体岳/伊邪那岐命)と伝わるが、本御正体のうち像の欠けている鏡板には、伊邪那美命の像があったと推察される。彦山権現の信仰資料として貴重な資料。