像高73cmを測る広葉樹を材とした一木造。丸い円満な顔に個ぶりの眼鼻を配した静かな面立ちで、肩は丸みを帯び、衣文の襞は浅く整えられる。これらは平安時代後期の特徴を示すものである。八角柱に反花を伴った台座も残されており、貴重である。谷あいに位置するこの地は平安時代に恵心僧津源信が薬師三尊と十二神将を彫って寺を開いたと伝えられる古くからの信仰の場であった。