本坊庭園の所在する清水寺は、清水山の中腹に位置する天台宗の寺院で、その造園は室町時代末期と伝えられ、江戸元禄期に整備されている。庭の中心の心字池には、配石や植え込みで枯山水を取り入れ、亀島を配する。2本の滝、モミジを中心とした植栽や地を覆うコケ類からなる静寂の時を感じさせる庭園内の空間に加え、背後の愛宕山の借景として取り込んで、自然と融和したものとなっている。特に秋の愛宕山に昇る夕月が見事で、月の鑑賞に適うよう設計された庭園と言われる。