鹿毛家住宅は、久留米市草野町の旧街道沿いに位置する町家である。当家は江戸時代から醤油醸造や櫨鑞製造のほか質屋などを経営してきたという。明治37年(1904)の財産目録によると、盛時には数十棟の蔵が並んでいたとあるが、現在は、表門、蔵３棟、井戸小屋が残っている。
建築は、妻入りの大型町屋であるが、平入りの大屋根の上に低い妻入りの２階をのせ、さらに座敷が直角に張り出すなど､複雑な屋根構成である。内部は､東側土間に２列の部屋がつき一部前土間となる。外観や家伝から18世紀末前後の建立と推定され、現存町屋として規模も大きく最も古いものと考えられ、福岡県の民家の変遷をたどる上で貴重なものである。