観世音寺は、天智天皇が母である斉明天皇の菩提を弔うために建立を発願した寺で天平18年(746年)完成とされる。講堂・金堂・五重塔を中心に七堂伽藍が建ち並ぶ西日本随一の大寺院で、「府の大寺」と称された。戦火などによって創建当時の建物は失われ、現在の講堂及金堂は、福岡藩3代藩主黒田光之によって再建されたものである。講堂は、講義や法会の場で、観世音寺の中心的な建物である。元禄元年(1688)に完成した。入母屋造、本瓦葺、桁行3間、梁間2間、四面に裳階を付ける。金堂は、寛永7年(1630)に講堂の仮堂として建立され、その後講堂が再建された際に、改めて金堂にされたと見られる。入母屋造、本瓦葺、桁行5間、梁間4間、組物は隅柱上に舟肘木をおく。なお、講堂や金堂に安置されていた仏像は同境内の宝蔵にて収蔵・公開されている。