旧隈本家住宅は、明治16年(1883)に旧上妻郡今村(現八女市黒木町今)の地主であった初代・隈本儀三郎により建築された住宅である。矢部支流の笠原川から取水した上井手用水沿いに屋敷を構え、玉石積の石垣を築く。主屋は、木造2階建、入母屋造、桟瓦葺、南側に角屋を突き出す。内部は西側に土間を設け、東側突出部に2列6室の部屋が並ぶ。南側には式台玄関を設け、玄関の間、次の間、座敷が並び、座敷背後には角屋で隠居部屋を設ける。2階には3部屋設け、東面の窓からは矢部川への眺望が開ける。旧隈本家住宅は接客空間を発展させた間取りや、木太い良質な材料の使用など、発展させた明治前期の良質な農家建築として評価される。